西尾維新にしては安易な展開だった? 悪役を矮小化させてしまった『恋物語』

──"ベストセラー"のハードルが下がる小説界に残された小さな希望……そんな良質な小説だからこそ! ここでは愛ある批評を捧げます。

2012年3月号 NOVELクロスレビュー

■累計100万部突破の静かなヒット作

『ビブリア古書堂の事件手帖2』
作/三上延
発行/アスキー・メディアワークス
価格/557円 発行日/10月25日
鎌倉で何十年も続く古本屋「ビブリア古書堂」の店主・栞子は、本への並々ならぬ愛情と知識を持つ美人だが、極度の人見知り。前作では入院していたのが無事退院し、店員も増えたビブリア古書堂で、持ち込まれる古書の謎と秘密を解き明かしていく。11年3月発売の前作と合わせて100万部を突破し、12年本屋大賞にノミネートされている。

【文芸批評家・坂上】
★★☆☆☆☆☆☆☆☆
まさに「ザ・本屋大賞」な読後感
まさに「ザ・本屋大賞」という読後感が得られる作品。リーダビリティこそ高いものの、一つひとつの文章がまったく心に響かない。内容は端的に言ってしまえば、野村美月の『"文学少女"』シリーズ+芳崎せいむのマンガ『金魚屋古書店』。とにかく既視感を覚えるシーンばかりで退屈。今はやりの「書店もの」という体裁だが、読書の面白さを伝えることと人間ドラマとを並行して書くというやり方ならば、同じ趣向のマンガ『本屋の森のあかり』のほうが数段上。

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