■2012年3月号 COMICクロスレビュー
■海老蔵に読ませたい、歌舞伎バックステージ
『ぴんとこな』(6巻)
作/嶋木あこ
掲載/「Cheese!」(小学館)
価格/420円 発行日/12月26日
歌舞伎の名門・木嶋屋に生まれながら、芸にやる気がない恭之助。歌舞伎の家柄ではないが轟屋に住み込みで修行をし、実力を伸ばしている一弥。歌舞伎好きの同級生・あやめと出会い、彼女に認めてもらうために恭之助は稽古に精を出すようになるが、彼女と一弥は幼なじみで両思いの様子で……。歌舞伎を舞台にしたバックステージもの。
【ライター・高野評】
★★★★★★★☆☆☆
なんてことない三角関係だが
題材と画力の勝利。なんていうことはない王道の三角関係(黒髪の男と白髪の男と少女)で、男ふたりのホモソーシャル的ライバル関係(少女はそのための駒で、それでよい)をあざとく描いているのだが、歌舞伎役者というのはありそうでなかった設定ではないか。演舞シーンの圧倒的な美しさはもちろん、稽古に邁進する御曹司・恭之助と、野心のために師匠の娘を抱く一弥の汗をシンクロさせるなんて描写、「梨園」でなければなかなかできない。