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2012年2月号 COMICクロスレビュー
■古代オリエント世界に渦巻く謀略と戦い
『ヒストリエ』(7巻)
作/岩明均
掲載/「月刊アフタヌーン」(講談社)
価格/580円 発行日/11月22日
紀元前4世紀頃のギリシャやマケドニア、ペルシアが舞台。ギリシャ都市国家の裕福な家庭に育ったエウメネスは、当主たる父親への謀反発生の際に養子だったことが判明し、奴隷の身に落とされて故郷を追われる。その後出会ったマケドニア王国のアレクサンドロス大王に、書記官として仕えた彼の生涯を描く。『寄生獣』作者の肝いり長期連載。
【脚本/演出家・麻草評】
★★★★★★★★☆☆
コマ割り、見開き、技術力に感嘆
陰鬱でねっとりした時間が流れる前半部には心地よい眩暈を感じる。アレキサンドロス王子と未来の部下による友情の育みようにも、コマ割りの秀逸さに感動させられつつ、史実を想起して冷や汗。これから先も王子の悲劇にどっぷりつかることができそう。迫力の見開きで圧巻の9ページ連続丸呑みを体験してみよう。しかし、主人公のエウメネスは飲料水を飲んで遠くを見るばかり。将棋作りに夢中なのも良いけど、もう少し活躍してほしい。