【特別対談】西岡智×上原善広──橋下徹から解放運動まで部落解放同盟の重鎮、同和問題を語る

──西岡智、80歳──。一般にはあまり馴染みのない名前かもしれないが、被差別部落出身者に対する冤罪疑惑事件を糾弾した「狭山差別裁判糾弾闘争」を牽引し、部落解放同盟大阪府連書記長、中央本部書記次長などを歴任した、かつての部落解放同盟の重鎮である。そんな西岡氏に、被差別部落出身のノンフィクション作家・上原善広氏が昨今の同和問題、そして解放運動の"今"をたずねた──。

上原善広氏。

 2012年3月に前身である全国水平社の創立90周年という節目を迎える部落解放同盟。その長い歴史の中で行われてきた部落差別撤廃への闘争により、差別の実態も大きく変わってきた。今回は戦後の部落解放運動を牽引し、その生き証人である西岡智氏に、ノンフィクション作家の上原善広氏が話を聞いた。自身が体験してきた部落解放運動とその現状、出自が話題になった橋下徹氏、そして運動の今後のあり方とは?

上原 今回は部落解放同盟で数々の要職を歴任し、狭山差別糾弾闘争を牽引してこられた西岡智さんに、怒られるために来ました(笑)。

 今の解放運動に喝を入れられるのは、西岡さんしかいないと思ってます。「同和地区出身」と語った橋下徹(元大阪府知事)氏の話は後ほど伺うとして、10月には岐阜で行われた部落解放研究第45回全国集会に"鳥取ループ【註1】"という、鳥取や滋賀の部落地域をインターネット上で公開して物議を醸したサイトの管理人たちが現れるという事件がありました。彼らは大勢の解放同盟関係者の前で自らの行動の正当性について発言したのですが、司会を務めていた部落解放同盟大阪府連合会委員長の北口末広氏はじめ、参加者たちは糾弾どころかまともな反論もできなかったと聞いています。

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2024.11.28 UP DATE

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