「演歌歌手は、単なる人柱に過ぎない!」 犯罪学者・加藤久雄が語る暴排条例の歪な仕組み

──ここまで、演歌とヤクザの深い関係について見てきたが、ではいったいなぜ演歌歌手とヤクザはここまで密接につながってきたのか?そしてこれからはどうなっていくのか──? 暴排条例と演歌歌手を取り巻く状況を、国際犯罪学者で、組織犯罪に詳しい加藤久雄氏に聞いた。

加藤久雄氏のホームページより。

さまざまなタレント、芸能人がいる中、こと演歌歌手が暴力団とつながりやすい理由は、意外と単純なんです。ポップスやロックのミュージシャン以上に、歌手自身が出身地を売りにしがちな上に、演歌の定番ジャンルのひとつにご当地ソングがある。それだけに、全国各地の興行主としては、演歌歌手はイベントやコンサートに呼びやすいんですよ。そして、その興行主とは、当然地元のテキヤといわれる暴力団であることが多い。一方、演歌の世界には、日本全国を行脚して、歌を披露しつつ、自らレコードやカセットテープを手売りする、いわばドサ回り的な営業手法が根付いている。だからお声がかかれば、地方興行にも喜んではせ参じるし、興行主である暴力団とも懇意にするのも、善悪を別にすれば、当然といえば当然です。  

 また、歌手が来てコンサートが開かれれば、その街の暴力団や音響制作会社、照明会社はもちろん、チケットを刷る印刷業者や仕出し弁当屋までもが潤います。地域としても、暴力団の仕切る演歌興行を"産業"のひとつとして大事にしている側面もあるようです。 

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2024.11.22 UP DATE

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