オリンパスが犯したもうひとつの罪──不当労働行為の被害者が告発

──相次ぐ社長交代や不正会計疑惑に揺れるオリンパス。そんな同社がかねてから抱えてきたトラブルのひとつに、内部通報により、不当な配置転換を強要された現役社員の濱田正晴氏が、同社に対し不当労働行為の取り消しと損害賠償を請求した「オリンパス裁判」がある。この裁判では、8月に出された控訴審判決で濱田氏が全面勝訴したが、9月に会社側は最高裁へ上告。その濱田氏が、現在の裁判制度、内部告発者を守るべき公益通報者保護法が孕む危険性について語るべく、その重い口を開いた。

 今回濱田正晴氏が対談相手として選んだのは、オリンパス裁判を通じて濱田氏を実務面、精神面で支援した串岡弘昭氏(後述参照)。

トナミ裁判元原告で現在は大学や自治体の研修会などで講師も務める串岡弘昭氏(写真左)と、オリンパス裁判控訴審で勝訴した原告・濱田正晴氏(写真右)(写真/山本宏樹)

 串岡氏が起こした「トナミ裁判」(同)がひとつの契機となって成立したともいわれるのが、不正の内部告発者を保護することを定めた公益通報者保護法(通称:内部告発者保護法)である(同法の詳細は別枠参照)。現実にはその趣旨に反して「内部告発者に甚大な被害を与えかねない法律」と指摘する声も多い。今回は同法と因縁の深い2人に、同法の問題点に加え、ある日突然誰もが直面し得る司法や企業に潜む罠について語ってもらった。

──濱田さんは裁判中の身のため、裁判に支障のない範囲でお話しいただければと思います。

串岡(以下、) 私が代わりに話すから大丈夫(笑)。

──まず、濱田さんの内部通報のあらましについて教えてください。

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2024.11.27 UP DATE

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