「また川村元気か!」邦画界を騒がす東宝敏腕Pの手で20億ヒットに至った理由

「CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評」とは?

本誌連載陣でもある批評家・編集者の宇野常寛氏が主宰するインディーズ・カルチャーマガジン「PLANETS」とサイゾーがタッグを組み、宇野氏プロデュースのもと、雑誌業界で地位低下中のカルチャー批評の復権を図る連載企画。新進気鋭の書き手たちによる、ここでしかできないカルチャー時評をお届けします。見るべき作品も読むべき批評も、ここにある!

【今月の1本】
『映画 モテキ』

松谷創一郎[ライター/リサーチャー]×森直人[映画評論家]×宇野常寛[批評家]

──原作マンガに2010年のドラマ版と、「サブカルと自意識」問題をめぐる議論を呼んできた『モテキ』が映画化された。監督・主演はドラマ版同様、大根仁と森山未來のコンビである。ここに、『告白』『悪人』と近年の邦画話題作を手がける東宝の川村元気プロデューサーが加わり、なかなかのヒットに至っているが、本連載執筆陣はこの映画をどう見たのだろうか?

『モテキ』が随分ヒットしていて、興行収入は20億円を突破しそうな勢いです。僕は正直、試写を観た時点では15億円くらいだと予想していたんですが、このヒットの背景を考える上でカギを握るのは、ドラマ版と映画版の間で何が起こったのかという点になるでしょうね。ドラマ版はノーギャラの捨て身で監督を務めた大根仁さんの熱量が圧倒的だったし、恋愛修行ドラマとしても非常に精度が高いんですが、その分、例えばサブカルアイテムの詰め込み方に「臭み」を感じた人も多いかもしれない。映画版はある種、ドラマ版で全身全霊の「作家」になった大根さんが、川村元気プロデュースのもとで「職人」に戻っている。結果、シネコン作品としてちょうどいい具合に薄まったのかなと。

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2024.11.22 UP DATE

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