──伝統にとらわれない、自由な想像力と新たな素材で挑む彫刻づくり。
まんじゅうがヤマネに変身
彫ってみたい!?現代彫刻【1】──現代根付
表はアニメキャラのような少女、裏は麒麟の「蒼天に翔ける」。
4センチ角の小さな作品ながら、髪の毛や鱗も細かく作り込まれている。
■実用小物としての根付の可能性
ポケットのない和服を着ていた江戸時代、巾着を帯に吊るす留め具として使用された根付。そんなただの道具に、当時の人々の遊び心で次第に細かな彫刻が施されるようになり、明治以降は欧米で美術品として高く評価されるまでになった。近年国内でも根付の再評価が高まる中、現代根付の彫刻家として異彩を放っているのが永島信也氏だ。
永島氏の作品は自由な感覚に満ち溢れている。「マンガやアニメの中で育った世代なので、意識的にそういう表現を出そうとしていますね」(永島氏)。精巧に彫られた半妖の少女の表情は、まるでアニメキャラ。しかしながら、髪の毛や羽の細かな表現からは生々しいリアリティも感じさせる。ほかにもお菓子と動物を組み合わせた「sweets」シリーズなど、永島氏独特の世界観で古根付にはなかった新しい表現を続けている。