『iPhoneバカ』(アスコム)。
経営危機の噂が出ては消えるソフトバンクだが、再び黄色信号がともっている。
「全ての人に分かれ道はやって来る。問題は、そこで正道を選ぶか邪道を選ぶかだ」
ソフトバンク社長、孫正義氏が9月22日にツイッターで放った意味深なつぶやきは、多くの人に「あること」を確信させた。そのつぶやきの前日、日経ビジネスのウェブサイトに掲載された『KDDI、「iPhone 5」参入の衝撃』という記事が間違いないことを、だ。ふたを開けてみれば、アップルから発表されたのはiPhone 5ではなく、iPhone 4Sという既存モデルのリニューアルバージョンであったが、ソフトバンクとKDDIへの2社供給は、やはり事実であった。
だが、このタイミングでのKDDIへのiPhone供給は、ソフトバンクにとって寝耳に水だったようだ。孫社長は常日頃、スティーブ・ジョブズとの親密なパイプをアピールしており、それによってiPhoneの独占供給を勝ち取ったという自負がある。したがってiPhoneの独占供給が崩れることになっても、少なくとも事前にアップルから通知が行われるだろうとの思い込みがあったのだ。しかし、あるソフトバンク関係者は「iPhone 4Sの発表までアップルからは、KDDIへの供給についてなんの通告もなかったようです。だから、実際に発表された時は、多くの社員がまさかと思った」と打ち明ける。