実はグレーゾーンだった!? 日本人のアイデンティティを脅かす「戦争とIT」の真実

――すっかり民間に溶け込んだITも、その起源は軍需産業とイコールであり、その関係はさらに深まっているといえよう。また、民主党の前原政治政調会長が講演で「武器輸出三原則」の見直しに言及。今後、ITと軍事の距離は縮まっていくのか?軍需産業とIT企業の密接な関係の先にある問題を探ってみた。

『日米安全保障戦略会議』の後に行われた懇親会の様子。自民党の久間章生元防衛大臣や民主党の前原政調会長の姿も。

 先端技術が目まぐるしく発展する昨今。われわれが日常的に享受しているITが軍事技術とその起源が同じであることは当特集【1】で述べた。戦争の道具として開発されたものが、生活の一部となっていることについて普段は意識する機会が少ないが、現実的にはITに限らずとも、例をあげれば枚挙に暇がない。 

 例えばジャンボジェット機もアメリカ空軍の輸送機コンペで、ボーイングがロッキードに負けたことがきっかけとなって民間に技術転用されたものである。ITにとっても、各国政府や軍事産業側からの積極投資が、黎明期の技術革新に多大な影響を与えたと言ってよい。「20世紀の主要なブレークスルーには軍事が関係している」(防衛省OBの評論家・太田述正氏)とする専門家もいるほどだ。そしてこれらの技術は民間企業が受注し、軍に提供しているものがほとんど。

「ソフトウェアの大手・オラクルは、アメリカ国防総省にソフトウェアを納入してますし、先進の兵器システムの設計研究にはヒューレット・パッカード(hp)のスーパーコンピュータを採用しています。軍需専門商社ではなく、こうしたIT企業の代表格ともいえる企業が多く参入しています」(テクニカルライター・井上孝司氏)

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2024.11.22 UP DATE

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