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2011年10月号 NOVELクロスレビュー

■自身も出産を経た作家が「母」を全力で描く

『マザーズ』
作/金原ひとみ
発行/新潮社
価格/1995円 発行日/7月29日
同じ保育園に子どもを託している3人の母親がいる。ドラッグに手を出している作家のユカ、乳児虐待に走ってしまう主婦の涼子、不倫相手の子を身ごもるモデルの五月。それぞれが「母」としての自身の存在に悩んで走った先にあるものとは──。自身も現在2児の母となった(本作連載中に2人目を妊娠)金原ひとみが、母たちの葛藤とあがきを描く。

【ライター・江南評】
★★★★★★★★★☆
いま、女が母になり子を育てること
育児を通じて「心の闇」に向き合う母たちの、共闘と共感の物語──とまとめては、本作の野蛮さが伝えられない。主人公たちは三者三様に見えて、普遍的な「母」なる存在の分身である。「結婚」の規範が寛大化し、一人のパートナー(夫)との、共棲、生殖・育児、自己承認欲求としての性の充足、という三位一体が成立しにくいこの現代において、女が母となり、子を育てるとはどういうことか。広く(少子化対策室の人とかにも)読まれるべき。

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