■島田紳助とは「即ちM-1グランプリ」である
ラリー遠田氏の著書『この芸人を見よ!2』(サイゾー)。
紳助の近年最大の功績といえば「M-1グランプリ」の開催である。2010年に惜しまれながら幕を閉じたこのお祭りは、紳助あってのものだった。お笑い評論家・ラリー遠田は、M-1こそ紳助そのものであったという──。
芸人・島田紳助には、2つの顔があった。ひとつは、冷静沈着に時代の流れや周囲の状況と自身の能力・適性を分析して、的確な判断を下す知性派の側面。もうひとつは、自らの信念を押しつけがましいほどに熱く語り、素朴な感情をむき出しにする、感動好きで気分屋の側面。彼の中には、この2つの相反する要素が分かち難く同居していた。
紳助の一連の言動や芸能活動は、この二面性から考え直す必要がある。彼はなぜ、あれほど客観的で冷静な分析力がありながら、時として過度に感動を押しつけるようなマネをしてしまうのか?また、そこまで直情的な性格でありながら、なぜ時として何もかも突き放したようなシニカルな目線で笑いを取ることもできてしまうのか?すべては、彼が二面性のある人物だからだ。彼の中のジキルとハイド、「秩序」と「混沌」のメカニズムを理解すれば、答えはおのずと見えてくる。