スマートグリッドが実現しない日本型民主主義の悪しき慣習【前編】

ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

今月のゲスト
高橋 洋[富士通総研経済研究所主任研究員]

──通信と電力を融合させ、より効率的に電力を供給できるシステム――それがスマートグリッドだ。情報と通信技術を融合させ、世界各国へ網のように張り巡らせたワールドワイドウェブを例えに挙げられることも多いが、スマートグリッドとは「供給の分散化」「需要の自律化」「蓄電池の発達」を結ぶ網のことだと考えられている。だが、独占企業ともいえる日本の電力会社にとって、「スマートグリッド=電力の自由化」ととらえられているため、その見通しは決して明るくない。「原発は是か非か」という二元論に陥りがちなエネルギー問題を、また別の角度から考えてみたい。

神保 マル激では、原発や電力の自由化、再生可能エネルギーなど、電力に関するさまざまなテーマを取り上げてきました。その中で、日本はこれまで電気の発電も送電も何もかも電力会社10社にすべてを「おまかせ」してきたことがわかった。日本の電力は地域独占ゆえに送電網はしっかりしているし、停電も少ないが、その一方で、我々はその体制が多くのリスクを抱えていることに目を向けてきませんでした。結果として、電力会社に権益も権限も集中し、誰も抑えられないガリバー産業になってしまった。今回は、エネルギー政策に詳しい、富士通総研経済研究所主任研究員の高橋洋さんをゲストに迎え、原発問題が起きる前から注目を集めていた新たな電力配分システム「スマートグリッド」を取り上げながら、この先、日本のエネルギーをどう運営していくべきかを議論したいと思います。

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2024.11.28 UP DATE

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