英国スタイリスト・トニー=クロスビーが選ぶ「酒とたばこがステータス!? 広告業界の明暗を描く秀作」

【選者】
トニー・クロスビー[スタイリスト]

 海外ドラマは、日本でまだ放送されてないものを取り寄せたりして、いろいろ観てきたけど、一晩で1シリーズを一気に観ちゃうくらいハマるものでないと、途中でやめちゃうことが多いよね。

「『マッドメン』は、リアリティを追究しつつ、今見てもカッコイイスタイリングにも注目!」とトニー氏。/(C)MMIX Lions Gate Television Inc. All Rights Reserved.

 いくら巷で人気でも、「今日は半分観たから、続きは今度にしよう」なんて思った瞬間に、もうアウト。『LOST』なんかも、最初は面白いなと思って観てたけど、だんだんプロットそのものがロストしてきちゃったから、そのうち観るのをロストしちゃったもんね。時間をロスするだけだしさ。

 だいたい、飛行機が落ちて人も死んでるのに、スーツケースからビキニ引っぱりだして日焼けを楽しむヤツなんて、普通は絶対いないじゃない(笑)。リアリティがあんまりないよね。

 そういう意味で、俺が一番ヤバい!って思うのが、1960年代のアメリカ・ニューヨークが舞台の『マッドメン』【1】。マディソン・アベニューっていう広告代理店が集まる街と、そこで働く広告マンの日常を描いた話なんだけど、モダンでスケベな60年代の雰囲気がまんま出ていて、これがいいんだよね。

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