コマの間から匂い立つ感情 『青い花』が描く、性欲込みの女性同士の恋愛とは?

■百合と女子高と江ノ電と

『青い花』(6巻)
作/志村貴子
掲載/「エロティクス・エフ」(太田出版)
価格/1000円 発行/5月12日
舞台は神奈川県・江ノ電沿線地域。交際していた従姉妹の結婚に傷心のまま、高校に入学したふみと、別の女子高に通うあきら。10年ぶりに再会した幼なじみの2人を中心に、女子高に通う生徒たちの、同性間をも含めた恋愛と友情の機微を描く。前クールのアニメ作品『放浪息子』も注目された志村貴子による、04年から続く長期連載。

【ライター・横井評】
★★★★★★☆☆☆☆
メインキャラたちの情けなさに苛立つ
読了してからずっと「なぜときめかないのか」考えている。BL的作品に顕著な人物の関係性の機微が好き、という理由であれば、本作はまさにそれがテーマだ。コマの間から匂い立つような感情表現は一級品。とすれば、その感情の問題かもしれない。「おそろいだね」や「どうしたら嫌われずに済む?」が象徴する女性同士のウェットなセリフに、たまらない違和を感じてしまう。私がときめくのは恋でなく、自立が前提にあってこその連帯なのだと、あらためて気づかされた。

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