これが正しい演歌の歴史! 大阪大学準教授の提言「演歌=日本の心」はデッチ上げ!?

――神聖な日本の文化と思われている演歌。そうしたティピカルなイメージを覆すのが、『創られた「日本の心」神話』という一冊の新書。その著者に話を訊いてみた。

『創られた「日本の心」神話』

 広く日本の大衆に親しまれている「演歌」。それが見せかけの「国民音楽」だとしたら……。演歌を軸に戦後日本のレコード歌謡史を論じた『創られた「日本の心」神話』(光文社新書)の著者・輪島裕介氏に、演歌が生まれた契機について伺った。

「演歌はもともと明治から大正初期にかけての"演説歌"が語源ですが、今で言ういわゆる『演歌』風の歌曲は、昭和初期のレコード産業の成立と共に生まれました。しかし当時はレコード会社が作る流行歌はそれ自体西洋風と見られ、民謡調、浪曲調の要素が大々的に入ってくるのも戦後に入ってから。それらがひとまとまりに"演歌"として認識されるのは60年代後半以降。高度経済成長の真っただ中で、国民の間で日本回帰のムードが高まった時代、五木寛之や寺山修司といった対抗文化的な知識人たちは、夜の巷の情念を歌った古臭い歌=艶歌(演歌)を"これこそが日本の庶民の歌だ"と肯定的に取り上げ、さらに高度成長の一段落後、北国や農村を"失われた古きよき日本"として歌うものに変貌しました。それがジャンルとしての演歌の成立に寄与したところは大きい」

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2024.11.22 UP DATE

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