自民党・河野太郎が選ぶ「原発行政の疑問点」がわかる本──今ごろ読んでももう遅い!? 黙殺されてきた原発の恐ろしさ

(写真/磯部昭子 A/M)

 福島第一原発の動向に世界の注目が集まる中、メディアでは、原子力をめぐる論議がますます盛り上がっています。これまで、原発・原子力行政批判がメディアでタブーとされるほど、電力会社が大量に投下していた広告宣伝費の呪縛が薄れつつある今、週刊誌は政府や東電の対応を叩きまくっていますし、新聞・テレビでも原子力のトピックが語られるようになりました。そこで、原発に関する「タブーな本」として私がまず挙げたいのが、『あなたはどう考えますか?~日本のエネルギー政策~』【1】です。これは佐藤栄佐久福島県知事在任時に設立された「福島県エネルギー政策検討会」により2002年に発表されたもの。「一旦決めた方針は、国民や立地地域の住民の意向がどうあれ一切変えないとする一方で、国や事業者のブルドーザーが突進するような進め方は地域の存在を左右するほどの大きな影響を与えかねない」(一部略)として、この検討会が始められました。「住民においても、自治体においても中央依存から脱却し、自ら情報を得る努力と自ら判断し、行動することが求められている」と結ばれたこの冊子は、日本の原子力行政が抱える問題点を最も真剣に議論した会議の中間報告です。しかし、そうした訴えはなかなか注目されず、黙殺に近い状態が続きました。「国の原子力政策の推進に都合の悪い情報が国民、県民に十分提供されていない」とするこの本は、3・11以後活発に交わされている「原発行政、是か非か」という議論に通底する生々しさを持っています。9年前、この本のメッセージに対して真摯に考えていれば、現在の深刻な事態は避けられたのではないでしょうか。

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2024.11.22 UP DATE

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