元刑務官・坂本敏夫が語る検閲問題──「検閲とは、内容よりも、不正情報を監視・規制するものだ」

──元受刑者の話から、塀の中の読書事情とタブーな本の概要は少なからずご理解いただけただろう。さて、ここでは刑務官として全国の刑務所や拘置所に勤務していた坂本氏に、検閲の実態について話を聞いた。

検閲がなされた斎藤充功氏の『ルポルタージュ 七つの刑務所プラス1』(時事通信社/岡田晃房氏との共著)。

「刑務所における検閲について」とのことですが、まず前提として、通常の書店に置かれている本・雑誌類ならば、基本的には刑務所でも同じように読むことができます。被収容者の書籍入手方法は3通りで、「被収容者本人による購入」「外部からの被収容者への差し入れ」、そして「刑務所内の図書室で借りる」です。

 ただし、もちろん例外は存在します。書籍類の内容は、法務省の訓令に準じて閲覧禁止になる場合があります。刑務所内で起こった脱獄や暴動についてなど、刑務所の運営管理に支障を来す内容は当然禁止。また、被収容者の更生を妨げる内容……これは被収容者の処遇指針(犯した罪などに対する矯正教育)に応じて抹消削除箇所を判断していますが、例えば覚醒剤常習者には違法薬物の記事を読ませないし、暴力団構成員には暴力団関連の内容を絶対に見せません。

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2024.11.22 UP DATE

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