「岡本太郎のやってることが普通だよ!」アートディレクター・若野桂が語る"反原発"ってイイじゃん!

──ツイッター上で原発を痛烈に批判し、自身の作品でも原子力への嫌悪感を露にする若野桂氏。こうした活動の背景にある作品について、話をうかがった。

【12】反核をテーマにしたイベント(2011年)大沢伸一氏もゲスト参加する『CLICK!!!』のフライヤー。VJとして若野氏も「反原発」セットをひっさげて参加。【13】『ふたりのイーダ』(1976年)松谷みよ子の同名小説が原作。幼い兄妹が帰省した広島の祖母の家の近くで、しゃべる椅子と出会うのだが......。【14】『はだしのゲン』(1973年)作者の原爆体験を元にした、言わずと知れた名作マンガ。戦中戦後を生き抜く中岡ゲンの人生を描く。【15】『sign』(2002年)原爆を悪の権化として描いている作品。同曲のPVがシカゴ近代美術館のアート・フェスティバルでエントリー上映されるなど、世界的に評価が高い。【16】『明日の神話』(1969年)水爆の炸裂する瞬間をテーマとした岡本太郎による壁画。現在、京王井の頭線渋谷駅連絡通路に設置されている。右下の部分はアーティスト集団Chim↑Pomがゲリラ的に付け足して話題となった。

 俺は5月に大沢伸一くんと名古屋で「反核!」をテーマにしたイベント【12】をやるんですけど、そこでVJとして「反原発セット」っていうのをやろうと思ってます。70年代、俺が子どもの頃は、隣の福井県で敦賀原発が動いてて大人が「あの辺に住むと殺されるよ」とか話しているのを聞いていたし、昔は核や原子力について考えさせられる作品がテレビでいくつも流れていました。当時、『ふたりのイーダ』【13】って映画を見た記憶があるのですが、その内容がすごくて、幼い兄弟が帰省先でしゃべる椅子と出会うんだけど、実はその椅子は原爆で死んだ子どもをずっと待ってるっていう......。その映像が幼心にむちゃくちゃ怖くて、自分の中で核に対する恐怖が強烈に残っているんです。けれども、今では「広島も長崎ももう復興したじゃん。今回だって大丈夫」とか言っている人が普通にいます。想像力がなさ過ぎですよ。きっとそういう人は『はだしのゲン』【14】も読んだことがないんじゃないかな。

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2024.11.24 UP DATE

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