中部電力が選ぶ童話、フェリシモのエッセイ......有名企業までもが文学賞に参戦する理由

──出版社ではない一般企業が、文学賞を主催することもある。大真面目な文化活動から、版元からの視線も熱い登竜門、ちょっと笑ってしまうような企業の取り組みまでをご紹介。

『冷と温──第13回フェリシモ文学賞作品集』

 一般企業が主催として名を連ねている文学賞のうち、読書家や文学賞ウォッチャーの間で有名なのは、「Bunkamuraドゥ・マゴ文学賞」だろうか。同賞は東急グループが運営する複合文化施設Bunkamura(東京都・渋谷区)が主催するもので、新しい才能発掘のために1990年に創設された。小説・評論・戯曲・詩を、毎年ひとりの選考委員が審査する(2011年の選考委員は辻原登)という特徴から、「出来レース感が強い」などと批判されることも。受賞作が決まると作品名を掲げたラッピングバスが渋谷を走るので、見かけたことがある人もいるだろう。

 Bunkamuraドゥ・マゴ文学賞は既刊本を対象とした賞だが、そのほかに一般企業が文学賞を主催する場合は公募形式のものが多く、作家志望者の間でしか話題にならずに消えてしまうものが少なくない。auと幻冬舎、TokyoFMが組み、応募対象を10代に限定した「蒼き賞」(08~09年)や、USEN主催の「USEN朗読文学大賞」(02~07年)など、有名一般企業による文学賞はかつていろいろ存在したが、次々に終了しているのが実情だ。

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2024.11.22 UP DATE

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