日本の学校教育と防災訓練の乖離とは?
神保 大人が想定にとらわれている間に、子どもたちが正しい行動を取ったんですね。今度の災害での釜石市内の小学校・中学校3000人の避難率は、ほぼ100%だったのですが、平成18年の千島列島沖地震の際には、10%未満だったそうですね。
片田 日本の学校教育では、先生の言うことは正しいし、与えられる印刷物は必ず正しい、と教えられます。疑ったり、自分で考えたりするための訓練は、あまりされていない。だから、僕は最初にハザードマップを見せて、それを否定しました。
僕らが考えていたのは、「防災教育においては、知識ではなく姿勢を教えなければならない」ということ。「君たちにできるのは、ただ逃げることだけ。それでも助かる保証はない」と教えているのですから、彼らも懸命に逃げます。