──大人も楽しめる日本のハイクオリティ・サブカルチャーのひとつ、アニメーション。日々進化し続ける技術と想像力に、どうついていったらいいのだろうか……。アニメの真の魅力を浮き彫りにする新批評。
2011年6月号 ANIMATIONクロスレビュー
■グリム童話×ディズニーアニメ+3DCG
(C)Disney Enterprises, Inc.
『塔の上のラプンツェル』
監督/バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ
出演(声)/マンディ・ムーア、ザカリー・リーヴァイほか
配給/ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公開/3月12日
長い黄金の髪を持つ少女・ラプンツェルは、深い森に囲まれた高い塔の上から外に出たことがない。母親以外の人間に会ったこともなかった。18歳の誕生日が近付いたある日、お尋ね者の大泥棒フリンが、追手を逃れて塔の中に迷い込んできて……。グリム童話の原作をディズニーが3Dアニメ化。
【批評家・宇野評】
★★★★★★★☆☆☆
もう少し脚本が練られていれば
一番の見せ場である髪の毛を使ったギミックについては、3Dアニメ映画ならではの創意がきちんと機能している。その甲斐もあって、ヒロインの造形と演出もほどよくセクシャルな方向に「可愛く」、子ども向け作品ならではのエロさを獲得できている。難点は脚本で、たとえば同パターンの前作『プリンセスと魔法のキス』の、複雑な関係性を手際よく整理した脚本と比べたときに感じる淡白さは否めない。結末の「奇跡」も、もうひとひねり要るだろう。