震災から考える

既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら! ジェノサイズのあとにひらける、新世界がここにある!

『報道写真全記録2011.3.11-4.11 東日本大震災』

 2011年3月11日の東日本大震災から早くも半月がたとうとしている(本稿執筆時点)。福島の原発の放射能漏れについては予断を許さない状況が続いており、そして壊滅的な打撃を受けた東北地方東部についてはいまだ多くの人々が避難生活を余儀なくされ、被害の全貌をつかむことすらほど遠い状況だ。国内的には間違いなく戦後最大の災害であり、国難のひとつだといえるだろう。

 この半月の動きで、文化評論の立場から指摘したいことは2つある。

 第一にメディアの問題だ。国内ではこの10年間、新聞・テレビ・出版といった旧メディアとインターネット=新メディアの対立がメディア状況を作っていたといえる。両者は、前者がポスト新人類以上、後者は団塊ジュニア以下と、主な支持層が世代的に異なり、そしてこの世代差はそのまま、戦後的な社会に育った世代と冷戦終結/バブル崩壊以降の新しい(しかし方向性の見えない)日本社会に育った世代との差でもある。メディアにおいては、前者は後者を脅威に感じながらも素人の集まりとどこか蔑み、後者は前者を既存の思考回路に縛られた時代遅れの「マスゴミ」とののしりながらどこか憧れを隠せない──そんな空気が漂っていた。

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