――2006年の登場以来、ユーザーの支持を得て成長を続けるニコ動。昨今では報道に力を入れるなど、既存の大手マスメディアの役割をも奪おうとしている。果たして、ニコ動はマスメディアを代替し得るのか? テレビプロデューサーの吉田正樹氏が語る、ニコ動の可能性と今後の課題とは──?
公式で各政党のチャンネルを設置しているニコ動。運営側のジャーナリズムへの力の入れ具合が見受けられる。ほかにも大手メディアや企業などの公式チャンネルも存在し、プラットフォームとしての価値を高めつつある。
──テレビプロデューサーとして、ニコ動にはどんな印象をお持ちでした?
吉田正樹(以下、吉) 一言でいうと大嫌いでしたね。テレビの映像ばかり投稿されていて、人の財産を平気で侵害していましたから。しかし、2009年頃から、鳩山政権の記者会見を生放送で流すなど、ジャーナリズムの要素が多くなるにつれ、受ける印象も変わってきました。運営側が、インターネットやメディアの本質は生放送にあるということに気がついたのでしょう。最初は子どもの遊びのような発想で始まっていたものが、オリジナルのコンテンツを作り、有料会員制度を導入するなど、ビジネスとしてのプランニングがしっかりしてきたので、今はとてもポジティブに見ています。