『空港の大問題がよくわかる』
2010年10月、東京国際空港(羽田空港)の国際定期便の運航が32年ぶりに再開したと同時に、テーマパークのごとき新国際線ターミナル・ビルが完成して話題を呼んだニュースは、まだ記憶に新しいだろう。しばしば語られるように、「国内線の顔」として長年知られてきた羽田空港が、国際線を再スタートさせた背景には、70年代後半にアメリカで始まった「オープンスカイ」と呼ばれる全世界的な航空自由化の潮流の影響が大きい。
かつては相手国の政府との2国間の交渉により、乗り入れる空港から航空会社、便数まですべて決められていたが、オープンスカイとは航空会社が相手国の空港に自由に路線を開設できるようになったことを指す。したがって、空港側にはエアラインを誘致する営業努力が求められるわけであるが、こうした潮流の中で猛烈な航路拡大を図るシンガポールのチャンギ国際空港や韓国・ソウル近郊の仁川国際空港といったアジア圏の国際空港に、日本の国際線を担ってきた成田国際空港(成田空港)は「アジアの玄関口」の座を譲り渡そうとしている。
そんな中、日本の航空行政が打ち出したオープンスカイ対策が、冒頭で触れた羽田空港・国際線の再スタートだった。そして、約半年が過ぎた現在、首都圏からの交通アクセスなどを比較すると、成田空港よりも羽田空港のほうが圧倒的に利用しやすいことは、誰の目にも明らかである。巷では「もう国際線も羽田だけでいいのでは?」という声すら上がる始末だ。