登場から3年半、いまや関連楽曲がカラオケランキングの上位を席巻するほどの人気となったボーカロイドシーン。とはいえ、ミュージシャンや音楽ファンの間にはまだ敬遠する人も多い。そんな状況に風穴を開けるべく立ち上がったのが、ポストロックバンド「FLEET」で活躍する佐藤純一さんだ。3年ぶりとなるアルバム『TRANSIT』の発売と時を同じくして、初音ミクを使った楽曲「Cipher」をニコニコ動画で公開。再生数は6万を超え、ツイッターでのやり取りを元にボカロについての考察をまとめた「初音ミク文化論」と共に、様々な方面の話題を集めた。
彼がボカロ界隈での活動を始めたのも、ソフトとしての目新しさやマーケットとしての魅力ではなく、その周辺に広がる新たなカルチャーの文脈に興味を持ったからだという。バンドシーンとボカロシーンの架け橋となることで新たな音楽のあり方を生み出そうとしているという彼に、「初音ミクの可能性」から「新たな音楽文化のあり方」まで、語ってもらった。