北京五輪開催直前、IOC名誉会長であるサマランチにインタビューを敢行! 指定された場所は、スペイン・バルセロナの大手貯蓄銀行「ラ・カイシャ」の会長室。彼は同銀行の名誉会長でもあるというのだ。五輪を商業イベント化したことに対する自身への批判をどう捉え、北京五輪をどう見ているのだろうか?
(写真/ペラ・プンティ)
ホアン・アントニオ・サマランチの最大の功績は、五輪にテレビ放映権、企業広告、スポンサーなどの収益メカニズムを積極的に導入し、今日のIOC(国際オリンピック委員会)の盤石の財政基盤を築いたことであると言われる。しかし、同時に五輪にビジネス至上主義を持ち込み、商業イベント化したことに対する批判も根強く、その功罪が問われている。北京五輪開催をめぐっては、08年3月に表面化した中国政府によるチベット弾圧が国際的な問題となり、世界各地で中国政府への抗議活動が行なわれ、一部の国ではボイコットすべきとの強硬意見も出るなど、開催さえ危ぶまれている 。
現在はどのような活動を?
サマランチ(以下、サ) 健康が許す限り、"活動的な"隠居生活をしているよ。高齢者が積極的に社会に関わることはとても大事なことだ。今でも毎日この執務室からさまざまな案件に接し、私の意見を求める人たちに対応している。もちろん、あらゆるスポーツの活動にも関わりを保っており、IOCの事務局があるローザンヌ(スイス)へも定期的に訪れている。
──IOCの名誉会長を務められていますが、同職の具体的な役割とは?
サ 私は、要請があればいつでもIOCの役に立てるよう支援するつもりだが、現在の主な仕事は、五輪博物館や資料館の総括管理だ。