【アピチャッポン・ウィーラセタクン】──タイ初のパルムドール受賞監督が描く、"アジアならでは"の輪廻転生

(写真=Shoda Masahiro・D-CORD)

 タイ映画史上で初めて、カンヌ映画祭のパルムドールを受賞した映画監督、アピチャッポン・ウィーラセタクン。受賞作となった『ブンミおじさんの森』は、腎臓の病に侵され、死を目前にした主人公のブンミと周りの人間たちが、この世とあの世をまたぐ不思議な者と遭遇する話だ。

 まずこの映画の根底にあるのは「リンカネーション(輪廻)」の考え方。これはアピチャッポン監督作品に頻繁に登場するもので、タイの現代社会においても、根付いているのだという。

「この映画は、アジア、ヨーロッパ各国で上映されましたが、リアクションは国によってさまざまでした。タイでは信仰上、生と死が日常生活とつながっていて、輪廻の考え方は、小さな頃から聞かされた話や本やマンガにも、頻繁に登場する。だから、転生や前世、運命などは強く信じられていると思うんです。欧米の人は、この映画に対して、精神性への質問や疑問が多いように感じたけど、アジアではあんまり聞かれなかったのも、そのせいでしょう。あと、人から動物へのトランスフォーメーションも、アジアの人には伝わりやすかった気がする。人と動物のつながりが、有機的なんでしょう」

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2024.11.22 UP DATE

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