──2004年に産声を上げて以来、その受賞作が軒並み30万部以上のヒット作となっている「本屋大賞」。しかしその重要度の上昇、世間的な認知の広がりと共に、内外から不満や疑問の声も上がってきているという。一体、本屋大賞とはどんな賞で、どれほどの影響力があるのか? その実態を追った。
歴代本屋大賞受賞作と発行部数
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本屋大賞とは、全国の書店員が一番売りたい本を投票で選ぶ賞であり、「書店員の投票のみで大賞が決定する、開かれた新しい形の文学賞」である。2004年に第1回がスタートして以来、今年で8回目を数える。第1回の小川洋子『博士の愛した数式』(新潮社)をはじめ、歴代の1位作品にはずらりとベストセラーが並ぶ。
昨年11月24日付の朝日新聞の記事「崩れゆく『壇』の権威」では、直木賞との勢いの差が明かされた。09年の本屋大賞1位『告白』(湊かなえ・双葉社)は70万部で、直木賞『鷺と雪』(北村薫・文藝春秋)は10万部、そして昨年の本屋大賞1位『天地明察』(冲方丁・角川書店)は38万部で、直木賞『小さいおうち』(中島京子著・文藝春秋)は11万部と、販売に対する影響力では本屋大賞の圧勝だ。