外食業界──ほとんどの店が経営危機に!? ファミリー層獲得で光は射すか?

──2009~10年にかけ、デフレの影響をもっとも大きく受けた「外食産業」。高級レストランが潰れ、250~280円の均一価格居酒屋が拡大、価格競争に積極だったすき家が大幅増益、値下げをしなかった吉野家が過去最大赤字と、今や「低価格」がひとつのキーワードになっている。しかし、当然ながら全体市場は大きく収縮しており、同業界は「価格競争」から「価値競争」に移行する時だと言われているが……。冷えきった「外食産業」の未来とは?

(イラスト/都築潤)

勝ち企業

鳥貴族(居酒屋チェーン)
大阪・東京を中心に190店以上を構える、全品280円均一の焼鳥居酒屋チェーン。「デフレ時代のヒーロー。勢いだけでなく、シェアもすごい」(A氏)

エムグラントフードサービス(ファミレス)
「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」「ステーキと焙煎カレー ふらんす亭」などを展開。居抜き物件を多く利用した郊外中心の出店戦略で、ファミリー層を取り込んでいる。同社の井戸実代表は、話題の「グルーポンおせち事件」で販売側への擁護的発言をツイッター上で行い、注目された。

ゼンショー(牛丼&回転寿司)
牛丼「すき家」、ファミレス「ココス」、回転寿司「はま寿司」などを手掛ける外食業界の巨人。単価を下げながらも売上高を伸ばし、牛丼戦争を制した手腕を評価。

負け企業

低価格居酒屋系外食チェーン
これまで、店の数が増え過ぎていた外食産業は、オーバーストアの状況が淘汰されていくだろうと予測される。特に、価格競争に底が見え始めた居酒屋系外食チェーンは、その店ならではの、特筆すべき価値を見い出していく必要があるだろう。同時に、小規模チェーンや個人店にも厳しい時代が到来する。

 相次ぐ値引き合戦がマスコミで大きく報じられた牛丼チェーン店の熾烈な争いや、「全品270円!」などと大書きされた派手なネオンが目立っていた低価格居酒屋の大躍進など、昨年の外食業界はデフレの影響がクリティカル・ヒットする激動年となった。価格競争に明け暮れた2010年の動向を、飲食ビジネス総合誌「日経レストラン」(日経BP社)の三橋英之編集長はこう振り返る。

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