巨大なキャンバスに描かれた奇想天外な城郭。そこで繰り広げられる奇妙奇天烈な合戦。丸ペンで描き込まれた緻密なディテールの集積が観る者を圧倒する。そんな超大作『興亡史』をはじめとした作品が世界的にも高い評価を受ける画家・池田学の初画集『1』が、昨年末に刊行された。さながら1本の大作映画を想わせる壮大な池田作品のルーツは、どこにあるのだろう?
「趣味のロック・クライミングですね。卒業制作であり、現在のスタイルを確立した『巌ノ王』は、登りたい岩を増殖させた作品。僕の絵で頻繁に描かれる蟹や昆虫に対しても、"この甲羅を登ったら面白いだろうな"という気持ちが、どこかにあります(笑)」