日中間で尖閣問題が過熱して以降、マスメディアでこの人の顔を見る機会が増えたのではないだろうか。中国出身で北京大学を出たエリートながら、同国の体制に見切りをつけ、いまや日本で過激な中国批判を展開する稀有な存在である石平氏。著書『私はなぜ「中国」を捨てたのか』(ワック)が10万部を超えるヒットとなり、2007年には日本に帰化した気鋭の評論家は、新たな年を迎えた今、さらに緊張感を増しそうな日中関係をどう捉えているのか?
いまや中国批判の急先鋒・石平氏。
──先般の「尖閣問題」における政府の対応を、「日本人として」どうご覧になりましたか?
石平(以下、石)政府の対応というより、日本に「政府」が存在するのか、という問題でしょう。本来なら首相の主導により各閣僚がそれぞれの立場で国益を考え、国家戦略の中で方針を決定すべきですが、あれは仙谷由人官房長官が勝手にやっただけ。ひとりの人間の勝手な判断で、日本の国家的な威信が計り知れないほど大きく損なわれた。政府として機能していませんよ。
──あの弱腰対応で変わったものがあるとすれば何でしょうか?