『ホームレス作家』著者に聞く"路上生活"「家をなくして区役所に行ったら、ドカジャンと乾パンをくれました」

──麒麟・田村裕の『ホームレス中学生』(ワニブックス)に先んじること6年、家をなくして路上をさまよい、その経験を私小説『ホームレス作家』(幻冬舎)として出版した作家・松井計氏に、〈プチ野宿〉ブームの兆しをどう見るか尋ねてみた。

松井計氏の著書『ホームレス作家』

──そもそも松井さんは、なぜホームレス生活に?

「00年に出す予定だった単行本が、出版中止になるというトラブルに見舞われ……当てにしていた印税が入らず、家賃が払えない状態になってしまいました。私が住んでいた公団住宅というのは"お役所組織"で融通が利かず、家賃延納の交渉すらできなかった。それで、家を失いました」

──その後は、どんな生活を?

「ひとまず妻子は新宿区の緊急一時避難施設に入れたのですが、私は仕事を持っていたので保護を受けられなかった。季節は真冬の1月で、区役所の人がドカジャン1枚と乾パンを2袋くれまして……それを手に、街へ放り出されました。新宿駅前の温度計を見たらマイナス1度(笑)。じっとしてたら寒くて死にそうだったので、新宿と吉祥寺の間を歩いてひたすら往復しました。明け方になると始発から山手線に乗り込み、しばらく眠る。そんな生活をずっと続けていましたね」

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2024.11.22 UP DATE

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