──多くの飲食店がデフレスパイラルに陥る中、話題に事欠かず、値崩れすることのないスイーツ業界。「モンサンクレール」などの有名店を持つ辻口博啓氏の会社「Ash Tsujiguchi」ひとつとっても、創業以来最高益を叩きだすなど、業界の順調ぶりがうかがえる。そこで今回、同業界にとって1年で最も忙しいクリスマスシーズンを目前に、そんな絶好調ビジネスの現状に迫ってみたい。果たして本当に景気はいい? それとも......?
辻口博啓氏。(田中まこと/写真)
世界同時不況は消費マインドの低下をもたらし、飲食業界にも大打撃を与えた。しかしその中で、スイーツ業界は依然、ゴージャスなトピックを提供し続けているが......。今年、創業以来最高益を叩き出したというパティシエ・辻口博啓氏に、業界を勝ち抜く戦略を聞いた。
メディアでは相変わらずスターパティシエがもてはやされ、六本木ヒルズ、東京ミッドタウンなどのショーケースには、有名フランス人パティシエが作るハイクラスなガトーが並ぶ。さらに、コンビニの棚を見てもスイーツは元気で、かつての"安かろう不味かろう"的なデザートではなく、価格設定も高めな、繊細なものが次々に登場。さらに、最近ではメディア主導によって"スイーツ男子"たちが考案した"プレミアム"コンビニスイーツがズラリと並んでいる。
リセッション(景気後退)の局面をもビジネス勝機とし、華やかさを売り続ける業界のパワーはどこにあるのか。まずは、自由が丘「モンサンクレール」など、コンセプトの異なる10ブランドを展開し、サーカスを見ながら有名シェフの料理が食べられるイベント『ルナ・レガーロ』へのスイーツ提供など、業界を超えて活躍し続けるパティシエ・辻口博啓氏にご登場願おう。