皇族の肖像権は誰が持っている? 日本人には描けない天皇の御姿

──加熱する皇室報道を見るにつけ、皇族に対する国民の関心は決して低くないことがわかる。だが、日本で製作される映画に、皇族が登場する作品はほとんど見られない。ロシア人監督作品『太陽』のように、外国映画では正面から描かれ、日本でも公開されているが、なぜ日本ではいまだはれもの扱いなのか?

メガヒットを記録した映画『明治天皇と日露大戦争』のDVD。

05年、昭和天皇を主人公にした、アレクサンドル・ソクーロフ監督による映画『太陽』がロシアで公開された。当初、天皇や皇族の描写がタブー視されている日本での公開は難しいといわれていたが、翌年8月には東京の銀座シネパトス、名古屋シネマスコーレで上映され、立ち見が出るほどの人気を博した。また、07年3月にはDVD化もされている。

 この映画が話題を集めたのは、日本映画も含めて、おそらく世界で初めて昭和天皇を劇映画【註1】の主人公としたことだろう。1901年に昭和天皇が生まれてから、実に100年以上もの間、劇映画の製作者たちは彼を主人公にしなかった(もしくは、できなかった)。しかし、ダイアナ元皇太子妃の事故死にまつわる英国王室の真実を描いた『クイーン』(06年)がアカデミー賞6部門にノミネートされたり、映画『太陽』が活況を呈したこと、そして昨今の皇室報道を見れば、「天皇」を含む皇室を映画の主題とすることが観客への大きな訴求力を持つことは想像に難くない。にもかかわらず、昭和天皇のほか、明治天皇は数例のみ、大正天皇は皆無と、近代の天皇を主人公とした劇映画は非常に少ない。そこで今回、これまで製作された作品を参考にしながら、映像表現において「天皇」や「皇族」という存在がどう扱われてきたかを考察してみたい。

今すぐ会員登録はこちらから

人気記事ランキング

2024.11.25 UP DATE

無料記事

もっと読む