連載でもおなじみの町山智浩氏
の番組『松嶋×町山 未公開映
画を観る本』も書籍化。
──日本でも人気の『サウスパーク』をはじめ、アメリカの大人向けアニメといえば、社会風刺や差別ネタ、性・暴力描写が全開のヤバいブラックコメディの宝庫。近年、深夜帯でますますエスカレートしているその状況を、アメリカ在住の映画評論家・町山智浩氏に訊いた。
アメリカにはアニメ専門のチャンネルがいろいろありますが、夜遅くなると子どもが寝ちゃうので視聴率はガクッと落ちます。そこで、夜10時すぎから、大人向けアニメを放送し始めたんですが、これが政治、セックス、ドラッグ、バイオレンス、差別などなんでもアリの、日本では考えられないようなアニメ作品ばかりなんです。
そうした流れのルーツとしては、1989年に始まった『ザ・シンプソンズ』が、一見子ども向けのファミリーコメディの枠組みを持ちながら、アメリカ社会の暗部を強烈に風刺するブラックなネタで大ヒットしたことが挙げられるでしょう。以後、90年代を通じて『ビーバス&バットヘッド』や『サウスパーク』など、ポップで可愛い絵柄とヤバいギャグのギャップで売るようなタイプの作品が次々と登場して、ブームを起こすようになりました。