シミケンと一緒にいると、官房長官だった故藤波孝生の句を思い出した。「控えめに 生くる幸せ根深汁」。根深汁とは、ねぎのみそ汁のこと。激しく生きるシミケンは、本当は控えめに生きることを願っているはずだ。
清水健太郎が覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕された。これで6度目の逮捕である。シミケンは、我が社の目の前のマンションに住んでおり、私は彼と4度目の逮捕後から親交がある。
知り合う以前から、彼の目にはいつも怯えがあると、私は思っていた。「失恋レストラン」を歌っているときも、Vシネマでどんなにコワモテのやくざの役をやっても、遠くを見るような悲しい目をしている。かつてはこの目で女性ファンを獲得し、Vシネマではこの目の表現力で男性ファンを獲得した。ときに、シミケンの目は、男の色気だとか男の悲しさ、男の刹那と形容された。彼の台詞回しや立ち回りも素晴らしいが、それ以上に目の奥にある悲しさ、怯えが人々を魅了した。その悲しみはどこから来たのだろうか。