飲食ビジネスプロデューサー・子安大輔氏が語る──和食料理人が消える!? 人員&コストカットの報い

子安大輔氏の著書『「お通し」はなぜ出るのか』

──"居抜き"出店で事業を拡大し、夢も希望もない"コストカット"店舗でただただ店の回転率を上げる現在の居酒屋チェーン。売り上げを作り、生き残ることが目的となった今、日本の食文化を守る"料理人"の不在に、飲食店コンサルタントの子安氏は不安を口にした。

 私が飲食業界に入ったのは、デザイナーズレストランの余熱がギリギリ残っていた2003年。飲食店をやるなら、自分の理想の店を存分に作り上げる、という空気がまだあった時期です。しかし、最近は"居抜き"物件(前の店の設備や内装などが残っている物件のこと)で手っ取り早く出店するのが大前提。これまでは、内装、設備が何もない状態(スケルトン)に戻すのが通常の賃貸契約条件でしたが、最近ではスケルトンのほうが珍しいんです。水回りや空調設備から工事をすると、総額で数千万単位の資金がかかり、その回収には少なくとも3年はかかります。しかし今、出店する側には「自分の店は3年は持たないかも」という危機感がある。必然的に、撤退を視野に入れつつローコストで店を作っていかざるを得なくなり、「こういう店を出したいからやる」というよりは、「どうやったら生き残れるか」に、経営者の視点が移ってきてしまったんです。


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2024.11.22 UP DATE

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