270円均一が大ブーム!? 歯止めのきかない"激安居酒屋"戦争の行く末は?

(絵/都築 潤)

──最近、「居酒屋の激安戦争」がマスコミを賑わせている。十数年前、「ワタミ」が居酒屋業界の平均客単価7000円という数字を3000〜4000円台に下げ、業界規模を一気に広げたことはあまりに有名な話。しかしその市場拡大も頭打ちとなり、ついに今年8月、"居酒屋価格破壊"の先駆者は、激安居酒屋戦争にまで参入した。この居酒屋デフレはどこまで続くのか?業界の今後の動向と、社会への影響を考えてみたい。

 深刻化する景気後退が外食業界にも影を落とす中、盛り場を歩けば「全品270円!」「250円均一」といったキャッチフレーズをド派手にうたった看板が目に入る。これらはいずれも、居酒屋大手チェーンのものばかり。今、フード・ドリンク共に200〜300円台をウリにする、低価格均一業態の台頭が目覚ましい。


ひとつの飲食ビルに何軒もの"均一居酒屋"が入っている光景は、最近では珍しくはない。いくら安くてもみんな270円均一でどれもそこそこの料理って......選びにくいんすけど。

 先駆者となったのは関西発の「鳥貴族」。「関ジャニ∞」大倉忠義の父親が代表を務めることでも話題となった同店は280円均一がウリの焼き鳥居酒屋で、2005年には東京への進出を果たしている。これが呼び水となり、激安ゾーンへの大量参入が始まったのが昨年のこと。「笑笑」「白木屋」を擁する大手チェーンのモンテローザは一部店舗を「300円厨房」「280円厨房」にシフトし始め、「甘太郎」を運営するコロワイドも299円均一の「うまいもん酒場 えこひいき」を展開し始める。そして、シーンを一気にヒートアップさせたのが「東方見聞録」などを運営していた三光マーケティングフーズの参戦。昨年4月に315円均一(後に299円↓280円↓現在は270円)の「金の蔵Jr.」を立ち上げ、アッパーミドル業態だった同社既存店の多くを低価格均一業態に大転換させたのだ。極め付きは、今年8月に業界の中核企業たるワタミが満を持して投入した「仰天酒場 和っしょい」。メニューの8割が250円で、プリペイドカードの導入やセルフサービスという新機軸を打ち出し、外食業界に衝撃を走らせている。


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