オタク的創造力が生みだす最高の喜劇『ドリフターズ』

──趣味の細分化が進み、ますます男女の垣根がなくなりつつある"マンガ"。いくら売れなくなってきているとはいえ、マンガ大国日本の底力は健在です! 何を読んだらいいかわからない? ならばまずはこれを読め!

2010年9月号 COMICクロスレビュー

■ヒラコー新作は偉人バトルロワイヤル!?

『ドリフターズ』(1巻)
作/平野耕太
掲載/「ヤングキングアワーズ」(少年画報社)
価格/590円 発売日/7月7日

関ヶ原の戦いの最中、重傷を負って森をさまよっていた島津豊久は、突如異空間へと飛ばされる。そこは、中世ヨーロッパ風でありながら、信長やジャンヌ・ダルクら古今東西の武人や偉人たちが戦いを繰り広げる異世界だった──。『ヘルシング』(少年画報社)を完結させた平野耕太が新たに描く、戦闘ファンタジー。

【批評家・宇野評】
★★★★★☆☆☆☆☆
過不足なく練り込まれてはいるが
この作者の芸は達者で、ネタとベタの間を往復する80年代的撹乱を前提に軸足は後者に置き、大ゴマで見得を切って逆切れ的にロマン主義への回帰を叫ぶ。正しく90年代/オタク第二世代的な回路で、保険のように仕掛けられたオマケマンガまで含めいい塩梅。この新連載もこの回路が過不足なく機能しているが、同時にそれはタイトルとは裏腹にやや退屈な安定感だけが存在していることを意味する。固定読者には期待通りの予定調和なのだろうが。

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