──素人には、本業とはかけ離れているように見えるビジネスでも、プロが見れば、因果関係が見えてくる。果たしてそこにはどんな理由があるのか──?
こういう本とか読んでそうですよね。
当特集【1】 【2】の通り、専門外の業務を行うIT企業は多いが、情報通信分野のコンサルタント・クロサカタツヤ氏は「彼らの商慣習を見れば、その戦略はそう不思議なものでもない」と指摘する。
「IT企業の間には、IT化でき、本業の利用効率を上げられるビジネスはなんでもやろうというマインドが強くあります。例えば、楽天の銀行・証券会社や、DMMの証券会社も一見畑違いのようですが、意外とそうでもない。ネット銀行・証券の競争領域はユーザーのレイテンシー(待ち時間)。売買までに0・1秒かかるのか、0・05秒で済むのか。その使い勝手がキモになる。だからこそ、大規模で高速なシステムを維持できるIT企業なら比較的参入しやすいんです。それに、楽天やDMMのような会社は端的に言って儲けやすい。既存の顧客の1割が銀行・証券を使えば、手数料だけで十分な日銭になりますよね」
この「なんでもやろう」気質に加え、「なにかやらねば」という義務感も彼らをM&Aに走らせている。