「相撲界から暴力団が完全に排除されるよう、事件の全容解明を進める」
田中英壽氏のプロフィール。(日本大学公式HPより)
去る7月8日。警察庁記者クラブで、安藤隆春警察庁長官はメガネの奥から厳しいまなざしを記者たちに向けると、毅然と言い切った。なるほど、野球賭博疑惑をめぐる捜査は、長官の言葉通り、勢いづいているように見える。
周知のように、暴力団関係者が元大関琴光喜に野球賭博の口止め料を要求したという恐喝疑惑を「週刊新潮」が5月にスクープして火がついたこの疑惑。日本相撲協会は内部調査を進め、7月4日、野球賭博への関与が深かった元大嶽親方と元琴光喜の解雇をはじめ、野球賭博をした27人の氏名や、それら力士と武蔵川理事長ら協会幹部の謹慎処分を公表し、社会からの風当たりが強まる中、間近に迫った名古屋場所をNHKが生中継してくれるよう、自浄作用が働いていることを印象づけようとした。
ところが大方の予想を裏切り、NHKは2日後に生中継の取りやめを発表。翌日には、警視庁が賭博容疑で元琴光喜の自宅や各相撲部屋の一斉捜索に乗り出し、相撲協会の面目は丸つぶれになった。NHK関係者の話。