──アメリカに端を発した一連の金融危機は"底"を脱したのか、2007年から11年までの各国の経済成長は回復傾向にあるという。だが、アジア新興国が成長するのは当然のことだとしても、リーマンショックを経験したアメリカが復調を見せている中、日本が置かれている状況は明るくない。その裏には、外需依存の日本経済に問題があると早稲田大学大学院の野口悠紀雄教授は指摘する。外需が期待できない現在、エコポイントの導入など、政府の助成によって"生かされている"日本の基幹産業が復活するには、日本経済の廃墟化しかないと野口氏は語る──。
【今月のゲスト】
野口悠紀雄[早稲田大学大学院教授]
神保 今回のゲストは、ファイナンス理論と日本経済論が専門の、早稲田大学大学院ファイナンス研究科・野口悠紀雄教授です。5月に上梓された『世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか』(ダイヤモンド社)を読み、ぜひともお話を伺いたいと思い、メインテーマもそのまま「なぜ日本経済のひとり負けが続くのか」としました。
まずは野口先生から、日本のひとり負けを象徴するデータのひとつとして、IMF(国際通貨基金)による「2007年から2011年までの経済回復見込み」について、ご説明をお願いします。