『鋼の錬金術師』 と「少年ガンガン」の抜き差しならない関係とは?

「CYZO×PLANETS 月刊カルチャー時評」とは?

本誌連載陣でもある批評家・編集者の宇野常寛氏が主宰するインディーズ・カルチャーマガジン「PLANETS」とサイゾーがタッグを組み、宇野氏プロデュースのもと、雑誌業界で地位低下中のカルチャー批評の復権を図る新企画。新進気鋭の書き手たちによる、ここでしかできないカルチャー時評をお届けします。見るべき作品も読むべき批評も、ここにある!

──趣味の細分化が進み、ますます男女の垣根がなくなりつつある"マンガ"。いくら売れなくなってきているとはいえ、マンガ大国日本の底力は健在です! 何を読んだらいいかわからない? ならばまずはこれを読め!

今月の1本
『鋼の錬金術師』

荻上チキ[批評家]×中川大地[ライター]×宇野常寛[批評家]

 2度のテレビアニメ化、劇場版、小学館漫画賞受賞……と、10年間の連載中、話題に事欠かなかった『鋼の錬金術師』がついに完結した。「少年ガンガン」という、ややマイナーだったコミック誌から生まれた『ハガレン』は、なぜここまでの大ヒットとなったのか?

荻上 10年の長きにわたって読者を惹きつけ続けた『鋼の錬金術師』(以下『ハガレン』)の連載が終了。最終話が載った「少年ガンガン」(以下「ガンガン」)も完売で、ネット上での転売時には5000円以上の値段がつけられてた。その反響から、9月号にも最終話が再録されるほど。僕も「αシノドス」で、〈『鋼の錬金術師』が触れなかった「政治的決着」〉という原稿を書いて、それで宇野さんに今回声をかけられて。

宇野 近年ジャンプ系以外で、ここまで盛り上がった少年マンガはなかったですよね。しかも「ガンガン」っていうややオタク系の月刊マンガ誌から大メジャー作品が出たことも含めて、ゼロ年代を代表するコンテンツです。アニメ化も2回されたけど、オタク的なフェティッシュのない人にも結構読まれていて、その間口の広さはもっと評価されていい。

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