「ブラタモリ」的想像力がフェイクに命を吹き込んだドラマ『その街のこども』を見よ!

──ついに"ドラマの帝王"木村拓哉ですら視聴率の取れなくなったドラマ大恐慌時代。そんなテレビ離れ世代にこそ見て欲しい、テレビマンたちの力とは? ドラマの見方が変わる新目線批評。

2010年7月号 DRAMAクロスレビュー

『その街のこども』
脚本/渡辺あや
演出/井上剛
出演/森山未來、佐藤江梨子ほか
放映/NHKにて、1月17日に放映(5月5日再放送)


 
 震災から15年目を迎える前日の神戸で、子どもの頃に被災した2人の男女が出会い、抱えてきた「震災の記憶」を、互いに口にし始める──。「阪神・淡路大震災 15年特集ドラマ」として制作されたスペシャルドラマ。脚本は、『ジョゼと虎と魚たち』などの渡辺あやが担当。

【批評家・宇野評】
★★★★★★★★★☆
「巨大なもの」をどうとらえるか
 これは傑作。手法的にはフェイクドキュメンタリー+「ブラタモリ」的想像力で、一瞬だけ成立する二者間の奇跡のようなつながりをとらえようとする。この会話劇の完成度は前2作から渡辺あやが追求してきた、二者関係の美学化の到達点か。白眉は〈震災〉の処理で、個人の力では抗えない大状況=運命が矮小な自意識の問題を解決するために安易に導入されがちな昨今、その力の途方なさを静かに浮かび上がらせることに成功している。

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