──今、本当に注目すべき音楽とはなんなのか? 「ROCKIN'ON」では読めない、新世代による新世代のためのミュージック批評。
ゼロ年代のJポップは、それまでより外国の音楽を参照しなくなり、国内的な独自発展(いわゆる「ガラパゴス化」というやつだ)が進行したともいわれる。そんな時代にあって、アメリカ発祥の、すなわちもとは英語文化であるラップのメソッド──押韻、フロウなど──を、日本語にいかに移植するかという問題に真摯に向き合い続けた「日本語ラップ」は、魅力的な存在感を放っていた。
その成果がチャート内に結実したのが、GReeeeN、FUNKY MONKEY BABYS、ヒルクライム……と書くと、どうやら怒る人がいるようだ。同じ「日本語によるラップ」の中にも、「日本語ラップ」と「J-RAP」という2つの概念があり、彼らの音楽は、「日本語ラップ」の当事者たちに言わせれば「J-RAP」らしいのだ。彼らは、「J-RAP」に蔑称的なニュアンスを込めて、そう呼ぶのだという。J-RAPの「J」には、ゼロ年代Jポップと同様の外国参照度の低さを揶揄する意図が込められているのかもしれない。
だが、筆者のような日本語ラップ門外漢からすれば、日本語ラップと同じくらい、J-RAPも輝いて見えた。なぜなら、J-RAPは「歌われていた」からだ。