出版専門紙「新文化」諸山誠編集長に聞く「電子書籍時代の"問題点"と"可能性"」

──【1】では、印刷所と取次という、出版に関する2大業種のITへの取り組みについて浮き彫りにしたが、電子書籍への移行は決して生易しいものではないようだ。出版業界の変遷をウォッチしてきた業界紙編集長にその問題点を聞いた。

出版専門誌「新文化」公式HP。

 2010年は電子書籍元年といわれていますが、約10年前、「電子書籍コンソーシアム」【『黒船が来襲する閉じた出版業界──佐々木俊尚が辟易する『電子書籍の衝撃』への衝撃』記事参照】が立ち上がったときも、そう呼ばれていました。当時の担当者は、「2010年には紙と電子が半々になり、2020年には完全に逆転している」と声高に主張していたのですが、現在、そうはなっていません。この電子書籍事業が惨敗に終わった理由は2つ。ひとつは端末の性能が悪かったこと、もうひとつは魅力的なコンテンツがなかったことです。出版社としては「ウチらは紙商売だ」という声が強く、電子書籍に対応したタイトルは新刊ではなく、既刊本や絶版本ばかりで、自分たちの売り上げを損なわないものばかりでした。

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2024.11.22 UP DATE

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