──iPadやKindle発売により、電子出版への環境が整いつつある。そんな中、出版社同様、業界を支える印刷会社や取次は、どのような対応を見せているのだろうか? 両業界大手企業の近況とともに、【3】では"伝説"の編集長たちの苦言提言から出版社のあるべき姿に耳を傾けてみたい──。
幅広く事業をすすめている印刷業界2強のひとつ、凸版印刷の公式HP。
iPadが発売されたことで、出版業界の話題は、電子出版への取り組みが中心となっている。各出版社ではその対応が思案されているが、出版物の電子化に拍車がかかり、紙への依存度が低くなればなるほど影響を受けるのは、本や雑誌を印刷する印刷会社と、全国のコンビニエンスストアや書店へ流通させている取次会社ではないだろうか。しかし、これらの電子書籍に対する動向は、出版社ほど知られていない。では、実際に両者は、電子出版についてどのような取り組みを行っているのだろうか?
まずは印刷業界。業界大手の凸版印刷と大日本印刷は、それぞれ年間約1兆6000億円の売り上げがあるが、出版事業の占める割合は年々減少しているという。業界関係者によると、「今や大手印刷会社にとって出版事業はあくまでも数ある事業のひとつであり、現在では決して柱ではない」と語る。