代紋のブランド力からピラミッド構造まで経営学者ドラッカーの山口組"仮想"分析

──『ヤクザに学ぶ組織論』(ちくま新書)の著者・山平重樹氏、および当特集【1】までの各氏への取材をもとに、山口組の組織の特徴を4つピックアップ。それらを経営学者ドラッカーの観点から検討し、さらに現役経営学者にも分析してもらった。そこから見えてくる山口組の強さの秘密と、今後の展望は?

(絵/白根ゆたんぽ)

ピーター・F・ドラッカー
1909年オーストリア生まれの経営学者、社会学者。ベニントン大学、クレアモント大学教授などを歴任。現代経営学の概念と手法を確立し、「マネジメントの父」と呼ばれる。『マネジメント』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。

[其之一] 『山菱』のブランド力

「(成果をあげるため)には強みを基盤にすることである」
(『ドラッカー名言集1 経営者の条件』(ダイヤモンド社)第1章43ページより)

 山口組の戦闘力の高さは、衆目の一致するところ。「ほかに類を見ない動員力と機動力の高さを生かした戦術が特徴で、闘う以前に戦意を喪失する相手も多かった」(山平氏)。山口組の今日の地位は、まさにドラッカーの言葉を実行した結果というわけだ。

 もちろんこれは、ヤクザの"ブランド"に直結する重要な要素でもある。某有名大学の現役経営学者は次のように分析する。「カタギの側からいえば、ヤクザに仕事を頼むなら、大手のほうが早くて確実と考えるのは当然。結果、ブランド力のあるヤクザに仕事がさらに集中する。また、組員にとっても、『山菱』(山口組の代紋)というコーポレートブランドが、帰属意識や士気を高め、アイデンティティの確立にも大きな役割を果たしている」

 ただ、現在の山口組は、全国のヤクザの約半分を擁する巨大組織。ドラッカーは「いかにマネジメントしようと、繁栄を続けられなくなるという最大規模の限度がある」という言葉をもって警鐘を鳴らすが、ヤクザ社会にも当てはまるのだろうか?

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