58円納豆に対して憤慨する山本氏を横目に、イオンの"安さ最重視"PB「ベストプライス」は、48円まで納豆の値段を下げてきた。製造するメーカーに未来はあるのだろうか......。
──小売店によるメーカーへの要求が問題視されているが、実際、何か大きな事件はあったのだろうか。消費者から見れば、"リーズナブル&ハイクオリティ"な商品が手に入るなら、これ以上のことはないが......。メーカーの内部事情に詳しい、山本謙治氏に実情を聞いた。
2000年代に入って雪印事件や無登録農薬問題が起き、食品の安全性が取り沙汰されるようになりました。ミドルクラスの価格帯で品質重視のものが投入され、小売業者側が「我が社の冠がついている商品だから安心ですよ」とうたうことで、それまで安さばかりを追求していたPBは、安心・安全であるというイメージへと方向転換したんです。
それが、一昨年のリーマンショック以降の不況で、安さがまた、最重視されるようになった。この状況によって、「もっと安くしないと売れないから」と、POSデータを突きつけて消費者の意見を代弁する販売・小売業者の強さが増してしまったことが最大の問題であると、私は考えています。